医師転職の悩み

【教授恐るべし】医局をやめたことで専門医を取れなかった医師の話

医局長をしていると、他の医局の情報などが入ってくることが時々あります。

 

内容によっては

「うちの医局はやっぱり駄目だなぁ」

って思うこともあるのですが、時には

「うちの医局でよかった」

ってこともあったりします。

 

その中でも特に衝撃を受けたのが、専門研修も修了したのにも関わらず専門医資格を認めてくれなかったという話です。
最初にこの話を聞いたときは、本当に耳を疑いましたよ。

 

「そんな話があるのか」

って。

 

具体的な内容についていろいろ聞いていったところ、その件についてはどうも医局をやめることと関わっていたようなんです。
医局をやめるタイミングは気を付けないといけないという意味でも、こんなこともあるんだよという具体例を今回はお伝えしていきたいと思います。
この話が真実かどうかにつきましては、皆さんの判断にお任せしますが(^^;

 

専門医を取っている学年なのに取っていないというドクターの話

 

少し前にとある病院で、他の医局をやめて就職してきたというドクターに会いました。
年齢はパッと見た限りではそこそこ若め(10年目ぐらい?)。
働いている様子を見る限りは、人当たりもよくて仕事もしっかりできそうな先生でした。
自分の専門科と同じだったので、なぜ医局をやめて就職してきたかなど、気になっていろいろ話を聞いてみたのでした。

 

すると、自分の働いている近隣ではそこそこ有名な研修病院でもともと研修をしていたとのこと。
また研修医を終了後は、その病院で研修プログラムをこなしたとのことでした。
だからかなりの実力は持っていることには間違いなさそうでした。

 

しかし一番の問題は

専門医の資格を持っていない

ということでした。

 

働いている様子を見る限りでは、能力的には普通のドクター以上のものを持っていそう。
しかも人間的にもまったくもって問題なさそう。
それなのになぜ、専門医資格が取れていないのか?

 

ちょっと突っ込みにくいところではあったのですが、やはり気になるので思い切って聞いていみました。
すると、考えもしなかったような"医局の闇"というものが浮かび上がってきたのでした。

 

専門研修プログラムを終了したのに許可が下りない?

 

詳しく話を聞いてみたところ、その先生は専門研修プログラム自体はすべて完了したとのこと。
また当初は専門医を取得する方向でも考えていたとのことでした。

 

その人は向上心も高かったようで、さらに勉強すべく他の病院への留学を考えていたようなんです。
優秀な人だけあって、そのように考えるのも納得ではあります。

 

しかしそこに立ちはだかったのが、その人が所属していた研修プログラムの長である大学の医局なんですね。

 

そのドクターもこれまではあくまで就職した病院の中の枠組みだけで動いてきていたのでしょう。
であれば、自分の希望に合わせて将来を考えることについては特に問題はなかったはずです。
しかし研修プログラムに入っていると、人事異動に関することについては医局がいろいろと口を出してくるものなんですよね。

 

結局自分が将来留学したいという希望について、どうもその医局までちゃんと伝えに行ったようなんです。
すると、医局のトップである大学の教授と直接話し合うことになりました。

 

細かい話の経緯までは当事者ではないので分かりかねますが、どうもその話し合いでは物別れに終わったとのこと。
まぁある意味教授としても、そんな下っ端のいうことなんか聞くはずがないということだったのかもしれません。
関連病院で研修していたとはいえ、お互いほとんど面識もないようなものでしょうからね。

 

しかしその後、想像もしなかった恐ろしい教授の強権が振るわれたようなんです。

 

恐るべし教授の力

 

結局自分の希望が通らなさそうなことを知ったそのドクターは、医局をやめる決意をしたそうなんです。
そして医局をやめる旨を伝えに行ったのでした。

 

すると、教授の方が取った行動は

専門研修プログラムの修了は認めない

ということでした。

 

これは専門医を取ろうとしている人にとっては衝撃ですよね。
せっかく研修まで終えたのに、それを認めてくれないなんて。
結果的には、終了を認めてくれない限りは専門医試験さえ受けることができないわけですからね。
"今まで研修してきた期間は何だったのか?"ということになってしまいます。

 

さらに恐ろしいことに

「うちの医局をやめるのならば、この近くでは働けないようにさせるからな!!」

と、脅しのようなことも言い放ったそうなんです。

 

もうこれって、相手がや〇ざかと思われるような、ある意味脅迫ですよね。
そんなことまで言われてしまった挙句、そのドクターは結局専門医資格を取るのを断念。
そして所属していた医局をやめたとのことでした。

 

時代錯誤かと思われる方もいるかもしれませんが、実は現在もこんなことが起きているようなんです。
自分も今回話を聞いてみて、本当にびっくりしました。

 

ただ少なくとも自分が所属している医局では、そんなことはまったく想像すらできないですけどね(^^;
これはやはりその医局によってだいぶ違いはあるものなのかと思われます。
そのドクターが所属した医局は、医局員の自由を許さないと言うことだったのかもしれませんね。
ほんとに恐ろしいお話です。

 

後日談としては、現在はその教授は退官したらしく、もう一度その研修を受けた施設に問い合わせてみようかなと言っていました。
せっかく研修プログラムを終えているのに、そんな理由で専門医が取れないなんて悲しすぎますからね。
そのドクターが無事に専門医を取得できるのを願うばかりです。

 

所属をお勧めしない医局のタイプ

 

今回の件を聞いて感じたのは

所属する医局は重要!!

ってことですね。

 

特に専門医を取得後に医局をやめることも考えているような場合、医局選びは本当に大切だと思います。

 

今回聞いたような話を起こさないために、医局を選ぶべきポイントは以下かと思います。

 

所属しない方が良いと思われる医局

1.雰囲気的に厳しそうな医局

2.医局員の数が多い医局

3.勢力が強うそうな医局

 

順番に見ていきましょう。

 

1.雰囲気的に厳しそうな医局

 

これについては言うまでもありませんよね。
教授が強権をふるってそうなところは、最初から注意した方が良いかと思います。
研修プログラムを選ぶ段階で、関連病院の先生などから話を聞いてみれば、ある程度は予測はできるのではないでしょうか。

 

大学医局の悪口を言っている先生が多い場合には注意です。

 

2.医局員の数が多い医局

 

これは絶対ではないかもしれません。
しかし医局員の数が多いほど、統率をしっかりしないといけないという面もあります。
その分医局員に対しては厳しく当たるケースが多い気がします。

 

また一人辞めたぐらいではビクともしませんから、医局の意向を強く主張してくるようです。
医局員の意向なんてほとんど聞いてくれないぐらいで。
"こちらのいうことが聞けないのならば、やめてもらって結構"というスタンスですね。

 

対して医局員が少ない医局というのは、医局員が一人でも減ってしまうと死活問題です。
ですから、逆に医局員の意向をある程度聞いてくれることが多いような気がします。
ある意味優しいと言えるかもしれませんね。

 

3.勢力が強そうな医局

 

これはその地域での影響力の強さのことを指します。
近隣への影響力が強い医局というのは、周りの病院へもプレッシャーをかけられるということですね。

 

先ほどのドクターと教授との会話の中でも出てきた

「近くで働かせなくしてやるぞ!!」

ってのは、まさにそのことですね。

 

もし就職したい病院が同じ医局の関連病院であれば、"採用するな"って言うことぐらい簡単でしょうからね。
ずっと医局に所属するつもりなら、関連病院が多いのは大きなメリットと言えます。
しかし初めから医局にずっと所属するつもりがないのであれば、逆にそれが裏目に出る可能性もあるということですね。

 

医局をやめるときには準備万端で臨みましょう

 

世の中には「医局をやめる」と宣言すると、先程のケースでもあったように"近くでは働かせないぞ"と脅しをかけてくることはちょこちょこあるようです。
実際に他でも同じような話を聞いたことがありますのでね。

 

医局をやめるときにヤバそうな雰囲気が漂っている場合。
そんな時には、証拠を残すべくICレコーダーでも持ち込んで録音しておくのも良いかもしれません。

 

近隣で働かせないなんて、本当に脅迫みたいなものですからね。
さすがに恐喝じみたことを言われた場合には、最悪訴えることもできるかもですからね。

 

教授たちもなんだかんだ言って、体面はとても気にするものです。
あまり大ごとにされるのは困るでしょうから、何らかの弱みを持つことができれば、その権力に対抗できるかもしれません。
密室の中で脅されてしまわないように、自衛すべく知恵を付けて対処することも重要かなと思います。

 

 

また医局をやめる前には、必ず次の働き先も決めておくようにしましょう。
そうしないと先に外堀を埋められて働き先がなくなってしまうなんてこともありますので。

 

就職先を考える場合には、まずは転職エージェントを利用する方が良いかと思いますよ。
自分の市場価値というのも分かりますし、就職に対していろいろとアドバイスもしてくれますのでね。
事前に複数のサイトに登録しておいて、良い条件の就職先が出てきたら即アプライするって方法が正直一番賢いです。

 

おすすめの転職エージェントについては、こちらの記事も良かったら参考にしてください。

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【医局長経験者が語る】医師の転職サイト・エージェントのおすすめ

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専門医取得までは我慢かもしれません

 

今回は研修プログラムを終了したのに専門医の資格すら取らせてくれなかったドクターがいたというお話でした。
これは聞いていて「なかなかひどい話だなぁ」と感じました。
しかし強権を持っている医局に所属した場合、このようなことも起こりうるということなんでしょうね。

 

そういう意味では専門研修プログラムを選ぶ段階で、まずは所属することになる医局をちゃんとチェックしておくが重要ってことですね。
前述した"お勧めしないタイプの医局"は避けた方が良いということです。

 

そのうえで専門医取得までは、なんとか我慢して医局に所属し続けるのが正解だと思います。
専門医を取得してしまいさえすれば、医局から離れることもある意味自由にできますからね。

 

専門医取得後に条件の良い就職先を探すことができれば、気兼ねなく医局をやめることもできますからね。
先生が将来の幸せなドクターライフを送れることをこころから願っております。

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